2010/08/25

真夏のおしまいのあれこれ

二十四節気では処暑。
しかし、連日35℃近くの暑さが続いている。
あんまり日差しが強いので、ここのところは日傘を差して駅までの道を歩いている。

真夏の真ん中からおしまいにかけてのあれこれを箇条書き。

・お酒ばかりを飲んでいる。
・1945年から1998年にかけての核実験を世界地図上に視覚化した映像作品を観る。
・私の生まれた1981年でも、幾発もの核兵器が炸裂していた。
・私の恋人の生まれた1980年でも、幾発もの核兵器が炸裂していた。
・父の生まれた年にも、母の生まれた年にも、弟の生まれた年にも、核兵器は炸裂していた。
・屋久島でのトレッキングで、身体のほうぼうに作った、痣だの擦り傷だのが完全に消滅。
・“喉元過ぎれば熱さを忘れる”のかなんなのか、次に登る山のことを真剣に考えている。
・そのわりに体力作りはおざなり。
・仕事が忙しく、その忙しい状態が、長期的に続く見込み。
・週末を使って帰省。
・午睡をし、蝉が蟷螂に捕食されるさまを眺め、犬と散歩をし、呆けたようにして過ごす。
・伊豆では冷房のスイッチに触りもしなかった。
・不在は実在を際立たせる。
・ゴルフの打ちっぱなし初体験。
・2010年の目標“ゴルフを始める”を最低ラインでクリアか。
・間に合わせではあるけれど、グローブも購入した故。
・しかし、アイアンが重い。
・周りには「クラブに振り回されている」と囃される始末。
・自身の圧倒的な筋力不足を痛感。
・「董卓討つべし!」という掛け声で起こしてくれる、まやや様仕様の目覚まし時計が欲しい。

2010/08/02

屋久島 旅の記録―3日目〈白谷雲水峡〉

8月1日(日)

3:30 起床
4:20 チェックアウト
4:30 縄文の宿 まんてん発
5:15 白谷広場着
5:30 白谷雲水峡へ

朝食を車内で済ませ、夜明けと共に森へ入る。
入口付近は、遊歩道が整備されている。
飛流おとしと呼ばれる滝が迎えてくれる。

前日の縄文杉へのトレッキングの疲れが残っている為、なかなか足があがらない。
ガイドブックから受ける印象以上に、道のりは困難。
高低差も体感値が実際の数字を上回る。
吊り橋を渡って、60分ほど黙々と進む。
途中、沢も渡る。
緑がどんどん深くなる。
緑にもいろいろな種類がある。
苔の森がひろがる。


いわゆる、もののけの森。
数ある宮崎駿の作品の中でも、とりわけ「もののけ姫」にはおもい入れはない。
でも、東京に戻ったら、観直してみようか。

苔がきらきらと光を放つ。
なんて美しい世界。
完璧な世界。


赤いテープを目印に、森を更に更に奥へ進む。


道のりは険しく、体力にも筋力にも気力にも、一切の余裕がなくなる。
苔の森の先、辻峠を登り切ると、太鼓岩という巨大な一枚岩がある。
視界がひらける、絶景のパノラマ。
白谷雲水峡の苔の森に次ぐ見どころ。
しかし、その急峻な峠を前に、私は太鼓岩まで向かうことを断念する。
K氏に託したカメラが、私の代わりに光を集める。


ああ、私も自分の網膜で光を集めたかった。
でも、私の肉体がそれに及ばなかった。
悔しい。
けれど、仕方ない。
自然は厳しくてこわくて容赦のないものだから。

9:45 下山

宮之浦へ出、登山レンタル用品を返却。

10:45 楠川温泉

ここの温泉の泉質は好みで大変よかった。
やわらかく、皮膚が少しぬるぬるとする。
汗を流して、さっぱりとした気持ちで安房港へ向かう。

12:00 昼食

〆も地のもので。
「屋久どん」という安房港近くのお食事処に入る。
Sさんは飛魚の姿揚げ定食、A氏は地魚の南蛮定食、K氏は地魚のフライ定食、私は屋久島うどんをオーダー。

13:10 安房港着
13:30 安房港発

帰りは高速艇を利用。
全員があっという間に眠りに落ちた。

15:30 鹿児島港着

タクシーで鹿児島一の繁華街天文館へ出る。

16:00 夕食

昭和25年創業の老舗「こむらさき」で鹿児島ラーメンを食す。
とんこつベースの塩ラーメン。
キャベツの細切りがたっぷりと乗ったラーメンは、なかなかに美味。


16:30 リムジンバスで空港へ
17:30 鹿児島空港着
19:10 鹿児島空港発
20:50 羽田空港着
22:45 帰宅

屋久島という圧倒的な自然の中で、動いて動いて動いた3日間。
体中に痛みと、その痛みの中に鮮烈な記憶が残っている。

二十代のおしまいに、この経験ができたことを幸運におもう。

屋久島 旅の記録―2日目〈縄文杉トレッキング〉

7月31日(土)

3:00 起床
3:50 縄文の宿 まんてん発
4:20 屋久杉自然館着
4:40 登山バス発

マイカー規制が敷かれている為、登山バスで登山口を目指す。

5:15 荒川登山口着
5:30 入山

登山口で朝食をとり、A氏の号令で準備運動。
夜明けと共に入山し、一路縄文杉を目指す。
前半は高低差の少ないトロッコ道をひたすらに歩く。


このトロッコ道、延々8㌔続く。
単調でなかなかにつらい。
1時間ほど歩いたところで強烈な眠気に襲われ、早くも不安をおぼえる。

トロッコ道には、いくつもの鉄橋がかかっている。
中には手すりのないものもあり、スリルがある。


トロッコ道の後半、「歌をうたうと気持ちが紛れていい」というSさんのアドバイスで、声を出してみる。
これが効果覿面。
眠気とトロッコ道を、なんとかやり過ごす。

大株歩道入口から、山道に入る。
トロッコ道とは打って変わって、勾配が激しい。
景観も豊かで気持ちが盛り上がるも、想像以上に山道が険しく、すぐに足取りが覚束なくなる。
岩や木の根を必死に越える。


ウィルソン株に辿り着いた瞬間、頭の中にしかなかった屋久島の森に今、実際に自分の足で立っているのだ、という実感が降りてきた。
人が住めるほどの大きな切り株の空洞には、きれいな水が湧いていた。


体力も筋力もとうに限界を迎えていたが、気力でなんとか足を前に出す。
仲間が気遣ってくれる。
A氏にザックの中身の半分近くを預ける。
「つらくなったら荷物は俺が持つから」と、計画段階からA氏は表明してくれていたが、まさか本当に持ってもらう羽目になるとは。
でも、なりふり構っていられる状況ではなかった。
もう歌もうたえない。

私は本来、ここへ来るべきではなかった。
私はここへ来れるほどの肉体を、持ち合わせてはいなかった。
ひろがる森がこわい。
縄文杉を目指す人は大勢いるのに、私はひとりぼっちでなんて無力。
噎せるほどに濃い自然の中に、私しかいない。
限界をふりきり、その境界の縁の縁で、みっともない肉体のすべてを使って、前に進む。
自分の肉体を使わなければ、ここへは来れないし、自分の肉体を使わなければ、ここからは出ることもできない。
そのうちに何も考えられなくなる。

そして、縄文杉に出会う。


樹齢7200年とも2170年とも言われているが、定かではないらしい。
森の王者。
いや、森の賢者。
静かに佇んでいる。
その姿を目にすると、巨木信仰というものを、すんなりと理解できる。

じんわりと気力が湧いてくる。
帰路、その気力と、仲間の励ましで、手足を動かす。

見られなかったものが見られたこと、知らなかった気持ちを知ったこと。
それが、少しだけ自信に繋がった。
自分の肉体を等閑にしてきたことを、反省もした。

16:45 下山

入山から実に11時間15分。
50分歩いて10分休憩、というリズムで歩を進めたので、9時間以上、歩いていた計算になる。

あとから聞いたことだが、Sさんは道中、自分の心配より、私の心配で頭の中を占めていたそうだ。

Sさん、A氏、K氏には、感謝の念でいっぱい。
私を日常からはるかに遠い場所に連れてきてくれて、ありがとう。

17:00 荒川登山口発
17:40 登山バス着
17:50 屋久杉自然館発 
18:15 縄文の宿 まんてん着
18:30 入浴
20:00 夕食
21:30 就寝

屋久島 旅の記録―1日目〈島内一周〉

少しだけ早めの夏休み。
真夏の屋久島へ行って参りました。

実際の距離以上に遠かった憧れの地を、私に引き寄せてくれたのは、友人夫妻のお誘い。
迷いなく、屋久島行きを決めました。

鮮烈な体験は、今この瞬間も、ものすごい速度で記憶に書き換えられてゆきます。


7月30日(金)

3:55 起床
6:50 羽田空港発
(鹿児島空港経由)
11:00 屋久島空港着

プロペラ機の窓越しに、緑の島が視界に入り、感情が昂ぶったA氏は「三半規管が燃え尽きるぜ」と呟く。
出発地羽田と経由した鹿児島は雨模様だったが、屋久島は快晴。
K氏曰く「僕は晴れ男」らしい。
レンタカーの契約をし、島一番の大きな町、宮之浦へ。
宮之浦には、コンビニもスーパーもある。
翌日の縄文杉、翌々日の白谷雲水峡へのトレッキングに備え、観光案内所で登山届を提出する。
高校時代登山部だったA氏が頼もしい。
レインウエアやザックカバーなど、必要な登山用品もスポーツ店でレンタルする。

12:45 昼食

まずは地のものを食したい、ということでスポーツ店の店員さんにおすすめを尋ね、「潮騒」というお食事処を教えていただく。
A氏は名物の飛魚唐揚定食、K氏はこちらも名物首折れ鯖定食、Sさんと私は地魚のお刺身定食をオーダー。
お刺身は、甘口のお醤油によく合って、大変に美味。
中でも鯖は名物だけあって絶品。


13:45 島内一周ドライブ

宮之浦から半時計周りで、島の周囲130㌔をドライブ。
ドライバーは前半Sさん、後半はA氏。

14:30 千尋(せんぴろ)の滝

巨大な花崗岩の一枚岩をすべり落ちる滝。


16:00 大川(おおこ)の滝

落差88m。
水しぶきが巻き上がって、迫力満点。
K氏は興奮して滝に近づき、制止するのかとおもいきやA氏も一緒になって滝に近づく。
男性陣はこの日一番の笑みで戻ってきた。


17:00 西部林道

大型車両は通行禁止の山道を行くと、ヤクザルが。
サルだけでなく、シカも見かける。


18:00 永田いなか浜

ウミガメが産卵に訪れるという、美しい海岸。
白砂が沖縄の浜辺に比べると粗くて、素足で踏みしめると大変に気持ちがよい。


19:20 縄文の宿 まんてん着
19:30 入浴
20:00 夕食
21:45 就寝