2010/08/02

屋久島 旅の記録―2日目〈縄文杉トレッキング〉

7月31日(土)

3:00 起床
3:50 縄文の宿 まんてん発
4:20 屋久杉自然館着
4:40 登山バス発

マイカー規制が敷かれている為、登山バスで登山口を目指す。

5:15 荒川登山口着
5:30 入山

登山口で朝食をとり、A氏の号令で準備運動。
夜明けと共に入山し、一路縄文杉を目指す。
前半は高低差の少ないトロッコ道をひたすらに歩く。


このトロッコ道、延々8㌔続く。
単調でなかなかにつらい。
1時間ほど歩いたところで強烈な眠気に襲われ、早くも不安をおぼえる。

トロッコ道には、いくつもの鉄橋がかかっている。
中には手すりのないものもあり、スリルがある。


トロッコ道の後半、「歌をうたうと気持ちが紛れていい」というSさんのアドバイスで、声を出してみる。
これが効果覿面。
眠気とトロッコ道を、なんとかやり過ごす。

大株歩道入口から、山道に入る。
トロッコ道とは打って変わって、勾配が激しい。
景観も豊かで気持ちが盛り上がるも、想像以上に山道が険しく、すぐに足取りが覚束なくなる。
岩や木の根を必死に越える。


ウィルソン株に辿り着いた瞬間、頭の中にしかなかった屋久島の森に今、実際に自分の足で立っているのだ、という実感が降りてきた。
人が住めるほどの大きな切り株の空洞には、きれいな水が湧いていた。


体力も筋力もとうに限界を迎えていたが、気力でなんとか足を前に出す。
仲間が気遣ってくれる。
A氏にザックの中身の半分近くを預ける。
「つらくなったら荷物は俺が持つから」と、計画段階からA氏は表明してくれていたが、まさか本当に持ってもらう羽目になるとは。
でも、なりふり構っていられる状況ではなかった。
もう歌もうたえない。

私は本来、ここへ来るべきではなかった。
私はここへ来れるほどの肉体を、持ち合わせてはいなかった。
ひろがる森がこわい。
縄文杉を目指す人は大勢いるのに、私はひとりぼっちでなんて無力。
噎せるほどに濃い自然の中に、私しかいない。
限界をふりきり、その境界の縁の縁で、みっともない肉体のすべてを使って、前に進む。
自分の肉体を使わなければ、ここへは来れないし、自分の肉体を使わなければ、ここからは出ることもできない。
そのうちに何も考えられなくなる。

そして、縄文杉に出会う。


樹齢7200年とも2170年とも言われているが、定かではないらしい。
森の王者。
いや、森の賢者。
静かに佇んでいる。
その姿を目にすると、巨木信仰というものを、すんなりと理解できる。

じんわりと気力が湧いてくる。
帰路、その気力と、仲間の励ましで、手足を動かす。

見られなかったものが見られたこと、知らなかった気持ちを知ったこと。
それが、少しだけ自信に繋がった。
自分の肉体を等閑にしてきたことを、反省もした。

16:45 下山

入山から実に11時間15分。
50分歩いて10分休憩、というリズムで歩を進めたので、9時間以上、歩いていた計算になる。

あとから聞いたことだが、Sさんは道中、自分の心配より、私の心配で頭の中を占めていたそうだ。

Sさん、A氏、K氏には、感謝の念でいっぱい。
私を日常からはるかに遠い場所に連れてきてくれて、ありがとう。

17:00 荒川登山口発
17:40 登山バス着
17:50 屋久杉自然館発 
18:15 縄文の宿 まんてん着
18:30 入浴
20:00 夕食
21:30 就寝

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